「コンテンツマーケティングのデパートとしてオンリーワンの存在へ」サムライト代表・池戸が語る決断と転機【サムライトの10年を振り返る・前編】


2013年9月、「広告を情報に変える」というミッションを掲げ、サムライトはスタートアップとして産声をあげた。

SOME JOURNAL編集部では、今年の9月に10周年を迎えるサムライトの歩みについて、代表の池戸へのインタビューを敢行。今回は前後編のうちの前編として、事業面からサムライトの歴史をひもときます。

創業当初にジョインし現在は代表取締役CEOとしてサムライトを牽引する池戸は、これまでの10年について、「会社や事業の成長のために、できたことがもっといっぱいあったと思っているので、100点満点中“42点”ですかね」と語ります。

なんとも絶妙な「42点」という自己評価の裏側にある、サムライト10年の歩みとは?

▼プロフィール
池戸 聡(いけど さとる)社長ときどき旅人。新卒で広告代理店に入社し、デジタルマーケティングの最前線で奮闘するも、世界一周したいという想いが抑えきれなくなり、退職。1年半の世界一周の旅より帰国した後、創業メンバーとしてサムライトに参画し、2015年より代表取締役CEOに就任。

【サムライト10年間のあゆみ(沿革)】

2013年 サムライト株式会社設立
2014年 オウンドメディア支援サービス開始
グリーベンチャーズ他から総額1.2億円の資金調達
2015年 オフィスを渋谷区渋谷2丁目に移転
ネイティブ広告ネットワーク「somewrite ad」リリース
2016年 朝日新聞社の100%子会社に
ニューズピックス社とパートナー契約締結
2017年 動画マーケティングサービス開始
自社運営サイト「TOREMO」「スカート」リリース
2018年 SNSマーケティングサービス開始
インフルエンサーマーケティングサービス開始
自社運営サイト「Programming Channel」「2.5ジゲン!!」リリース
2019年 次世代型インフルエンサーマーケティングサービス「SAME」サービス開始
音声UI活用向け専門組織「VUI Lab.」設置、VUIアプリケーション開発サービス開始
採用オウンドメディア支援サービス「SOMERISE for HR」サービス開始
オフィスを港区南青山2丁目に移転
2020年 奄美大島支社・奄美オフィス開設
オフィスを千代田区内幸町1丁目に移転
2021年 食の領域に特化したコンテンツマーケティング事業を開始
Instagramメディア「てづくりごはん365」「てづくりおべんと365」の運営を開始
2022年 ソーシャルコマース事業を開始し、ECサイト「cocomeru(ココメル)」をオープン
舞台俳優とファンが集まるコミュニティサービス「OSIRU(オシル)」を開始
オフィスを渋谷区代々木に移転
47都道府県採用をスタート

──まず、今年9月に10周年を迎えるにあたって、率直な想いをお聞かせください。

ありきたりの言葉になってしまいますが、シンプルに“感慨深い”ですね。

10年経ち、「あっという間だったなー、楽しかったなー、面白かったなー」と思う半面、振り返って「すごく大変だったな、、」という記憶も同時に頭をよぎります。

──経営者としてこの10年のサムライトに点数を付けるとしたら、何点ですか?

「会社や事業の成長のために、できたことがもっといっぱいあった」と思っているので、100点満点中“42点”ですかね。

サムライトの10年間は、大きくは3つのステージに分けられると思います。それぞれのステージで求められること・目線・役割が変わっていきました。

◆第一創業期
~会社設立から朝日新聞グループへのジョインまで~
2013年9月-2016年4月

「広告を情報に変える」というビジョンを掲げ、つまらない広告、嫌われている広告をもっと面白いものに、ユーザーにとって有益なものにしようと、オウンドメディア事業とアドネットワーク事業の2本柱で、とにかく成長しようとがむしゃらに走り、ひたすら事業に向き合っていたフェーズ。一人ひとりのメンバーは、かなりの覚悟と意志を持って仕事をしていたと思います。

待遇や労働環境など、決して良い条件とは言えない中、「この会社でやってやろう!」「自分自身の市場価値を上げよう!」と多くの人が集まり、市場や顧客に向き合い、“世の中に自分たちのサービスが受け入れられること”を目指し、ハードに働いてた時期でした。

◆第二創業期
~朝日新聞グループへのジョインから新たなビジョンの策定まで~
2016年4月-2019年4月

朝日新聞グループにジョインして、グループの中での役割を見出し、融合していくステージでした。グループ内でのサムライトの役割・立ち位置・目指す姿などは今と変わらないですが、よりスムーズに融合を進めるためにビジョンや目標をセットし直しました。

事業としては、コンテンツマーケティングというものを広義に捉えて、コンテンツのフォーマットやプレイスメント(場所)を広く見据えて、ソーシャルメディアマーケティングへの進出、オウンドメディアの新しい形をつくる、ということを決断し、舵を切りました。

◆第三創業期
~朝日新聞グループのサムライトとして新しいビジョンを掲げ、走る~
2019年4月-現在

“広告を情報に変える”という創業当初のビジョンも大事にしながら、新たに“コンテンツを信じる、メディアを進める、人を彩る”というビジョンを掲げました。

現在は、新しいビジョンのもと、サムライト としてなりたい姿、朝日新聞グループとしてやるべきこと、めざすべき姿を改めて会社としてセットし直して、自分たちの足で走っている状況です。

 

──あらためて整理して振り返ってみての42点なのですね!40点でもなく、50点でもなく・・・(笑)。

そうですね(笑)。第一創業期から第三創業期までを振り返ると、フェーズごとに組織のあり方・求められる人が変わり、結果的に会社の雰囲気やカルチャーが徐々に変わってきたな、とあらためて思います。

それぞれのフェーズでやるべきこと、求められていたこと、できたこと・できなかったこと、があったなと思い、総合的に鑑みての42点ですね!

──できたこと・できなかったこととして具体的にどんなことが挙げられますか?

10年を振り返り、“オウンドメディア”というマーケティング手法を国内に広げていく第一人者として、一定の水準で市場をつくっていくことができたかな、と自負しています。いっぱい失敗もしたし、大変なこともありましたが、そこは“できたこと”と言っていいんじゃないかなと。

一方で、できなかった、というよりうまくやりきれなかったのが、アドネットワーク事業です。

サムライトでは当時のビジョンでもあった“広告を情報に変える”という考え方のもと、コンテンツのクリエイション(制作)とデリバリー(流通)をセットでしくみ化したサービスを提供していたのですが、アドネットワーク事業は結果的に第二創業期で撤退することになりました。

この事業撤退については「やりきれなかった、競争に負けてしまった」という思いが強くあり、自分の人生の中でも失敗した経験として印象深いトピックとなっています。

──印象深い、経営者としての大きな決断だったと。

もしこの事業が発展していれば、サムライトは今、また別の形となっていたかもしれません。

とはいえ、今のアドネットワーク市場を見ていると、事業が発展していたとしても、競合がひしめく中でかなり厳しい戦いになったと思います。戦いを続けていたら、もしかしたら会社自体がなくなっていたかもしれない。経営者として勇気が必要な選択でしたが、この10年間で一番いい決断だったのかも?、とも捉えています。

ただ、経営者としてのジレンマもあります。撤退の原因は様々で、日本のマーケットが想定していたカタチに発展していかなかったとも考えられますし、一方で、我々が理想のマーケットを作れなかったという力不足の結果でもあると捉えています。

──大きな決断をした後に、何か変化がありましたか?

第二創業期は、“コンテンツマーケティング”を広義に捉えて、「ソーシャルメディアマーケティングへの進出、オウンドメディアの新しい形をつくる」ということを決めた大きな転機でした。

オウンドメディア事業に絞り、そこでの競争力を強化していくなど、サムライトとしてはいろんな選択肢があった中での決断であり、事業面での転換点となりました。

──当時のメンバーは、その方針に戸惑いはなかったのですか?

ありましたね。
オウンドメディアやソーシャルメディアなどさまざまなプレイスメント(場所)で、テキスト、動画、ビジュアル、音声など多様なコンテンツを駆使し、ブランドと生活者が握手をし、マーケティング上の成果をあげるべくコミュニケーションを科学する、そんな”コンテンツマーケティングのデパート”としてのサムライト が、いまでこそ当たり前になりました。

ただ、当時のメンバーの多くは「えっ、コンテンツマーケティングってソーシャルメディアも含まれるんですか?」とか「テキストコンテンツだけじゃなく動画もやるんですか?」という状態でした。

その時期と比較すると、事業展開やサービス提供の幅、人材・スキルセットは第二創業期を経て圧倒的に変わりました。

結果的に、顧客にはワンストップで多様な価値を提供し、より顧客のマーケティング成果に直結する仕事ができるようになった、さらに、生活者に対しても多様なカタチで有益な情報が提供できるので、より生活者を彩ることにつながる、従業員のキャリアの選択肢も豊富になった、まさに”人を彩る”が、より体現できるようになりました。

オウンドメディアとソーシャルメディアそれぞれに、これだけ愚直に向き合っている事業者はなかなかいないと自負しており、コンテンツマーケティングのデパートとして、オンリーワンの存在にちょっとは近づいてきたかなと思いますし、舵を切ってよかったな、とあらためて感じます。


▲サムライトの支援領域

悔しい思いを力に変える。変化を恐れず成長企業であり続けるために

サムライトの10年間は、未来を見据え、時に厳しい選択をしながら成長し続けてきた日々だったと知ることができた今回のインタビュー。

今のサムライトがあるのは、池戸が経営者として変化を恐れず突き進んできた実行力や決断力のおかげであることは間違いなく、「オウンドメディアとソーシャルメディアに愚直に向き合っている」と堂々と語る姿からは、力強さと固い意志を感じました。

インタビュー後編では、新型コロナウイルスの感染拡大など、社会の大きな変化も経験したこの10年の間に変わったもの・変わらないものについて語ってもらいました。そちらもぜひご覧ください!

 

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