「社名だって変わるかも…」変化を恐れぬ経営者が、re:VISIONについて語る。代表取締役CEO池戸聡ロングインタビュー


ミッション・ビジョン。

それは企業が掲げる使命や行動指針で、何をしたいのか、何を目指しているのかを示した言葉です。

とくにベンチャーやスタートアップの場合、何かしらの理想をもって起業し、急成長を目指して突っ走るわけですから、目指す方向をあらかじめ決めないと、組織はばらばらになります。

だから、ベンチャーやスタートアップのミッション・ビジョンは大抵、「ど直球」な言葉で表現されています。

サムライトは2013年、「広告を情報に変える」を使命に掲げ、創業しました。

邪魔になる広告を排除し、インターネット環境を快適にして、ユーザーに有益な情報を提供する。その理念を基に事業を多角化し、成長を続けてきました。
しかし、創業から6年、朝日新聞グループに入って3年。人も増え、事業も増え、そろそろ新しい理念を定義する必要が出てきました。

そこでサムライトでは、これから目指すべき場所を再定義する「re:VISION」(リビジョン)を実施しました。

新たに制定されたミッション・ビジョンは「コンテンツを信じる。メディアを進める。人を彩る。」の3つ。

サムライトが創業から6年目にして編み出した、新たな指針。どうして?このタイミングで?

その理由を、代表に直接聞いてみました。

▼プロフィール
池戸聡(いけど・さとる)
社長ときどき旅人。新卒で広告代理店に入社し、デジタルマーケティングの最前線で奮闘するも、世界一周したいという想いが抑えきれなくなり、退職。1年半の世界一周の旅より帰国した後、創業メンバーとしてサムライトに参画し、2015年より代表取締役CEO。

「メディア進めてないよね?」という言葉が、いかに普通に出てくるか。

──リビジョンについてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

今日はゆる~くおねがいしますよ。

──ゆる~くですか?会社の大方針を語るインタビューですよ…

ふざけてもいいし、自分のエゴを出してもいい。いろんなやり方があると思うので、自由に聞いてください。

──それでは…読者の立場にたって、リビジョンってそもそもどういうものでしょうか?

ベンチャーやスタートアップ企業って、何かしら『社会的課題を解決したい』『社会にこういう価値を提供したい』という集合体なんです。

ミッションは、登るべき山(使命)。ビジョンは登り方、目指すべき姿。

今までのミッションは「広告を情報に変える」でした。今回のリビジョンの基本的な方向性としては、登る山は変えないけど、登る方法を変えるということをイメージしています。

そこで、

コンテンツを信じる。
メディアを進める。
人を彩る。

の3つのミッション・ビジョンを定めました。

定義や理念についてはいろいろ考えていますが、わかりやすくするために「サムライトの目指すべき姿」と簡単にまとめて伝える形にしています。

強いて言うなら…

今までは、日本アルプスの中の特定の山を登ろうとしていた。

それを今回のリビジョンでは、日本アルプスをひとつの山として捉えて、拡張して、そこに登るというチューニングをしたんです。だから、解決したい課題の本質や、登りたい山が変わったというわけではありません。

──そもそも、リビジョンを考えたタイミングはいつごろからですか?

1年前くらいから考えていたんですが…会社として意志決定したのは2018年の12月です。経営層の変化や、事業の多角化、オフィス移転など、新しい節目を迎えていたので。

──どうやって浸透させますか?

まずは、経営層がビジョンを語ること。経営が語って、役員やリーダーが語って、それが日常会話に当たり前に出るようにする。その他では、「メディアを進める会」という所属組織ごとのワークショップをして、浸透を図ってます。

──日常会話に盛り込むんですか?

たとえば、メルカリさんでは「それってGo Boldじゃないよね」とか「All for One的に…」、「Proじゃないよね」とか普通に会話している。そこを目指しています。
※メルカリのバリュー「Go Bold」「All for One」「Be a Pro 」

僕らも日々の会話において、「メディア進めていないよね、この仕事」とか「コンテンツ信じていないよね?それ」とか、いかに普通にその言葉が出てくるのか、それが浸透の基準になるんでしょうね。

──浸透しないと、スタートアップは一つの山には登れないと言うことですか?

登れない、という訳ではないかな…。

ただ、サムライトは多様性を許容する文化。その中で、共通する軸、共通する価値観がないと組織は破綻してしまうし、組織としての意味をなさない。

僕らのような組織の場合、「みんな同じ方向を向け!」っていうのが、ミッションやビジョン、さらにはバリュー(組織が持つ価値観)やクレドといった経営理念だけなんですよね。

多様である以上、根底にあるもの、核になるものを共有しないと、組織は伸びないし、一体感や人と人のシナジーも限定されてしまうと考えています。

──気をつけないと、唱えるだけのスローガンになってしまいませんか?

実際には世の中やクライアント、読者からの反応で、実感してもらうのが一番だと思います。

「メディア進めたら、実際に人、彩れたやーん!」みたいな、日常会話ができるのが理想ですね。

「朝日新聞を進める」それもサムライトの存在意義の一部。

──ミッションとビジョン、言い方を変えていますが棲み分けはあるんですか?

ミッションとビジョンの区別って、世の中的に明確な定義はなくて…。企業によって結構変わります。

サムライトは今まで「広告を情報に変える」をミッションに掲げていた。そして今回「コンテンツを信じる。メディアを進める。人を彩る。」という新しいミッション・ビジョンをつくりました。

ここら辺のニュアンスを、細かく定義して、分類しても、みんなに浸透しないし覚えられない。だからミッション・ビジョンは一体的に考えています。

メンバーにはシンプルに「ミッション、ビジョンは僕らの作りたいもの、目指すもので、サムライトの存在意義だ」と伝えています。

──「コンテンツを信じる」とは、自分たちのつくるものを信じると言うことですか?

デジタルメディアの世界では、会社によっては、コンテンツって人を集める手段、ビジネスのための手段でしかない。

『手段』としてコンテンツを作って、メディアビジネスを手掛けているケースがすごく多い。結果的に、何を伝えるべきか考えていないコンテンツがあふれています。

たとえば、以前に起きたDeNAのWELQの一件でも、もし「健康やヘルスケア、医療について正しい情報を提供する」というビジョンがあれば、ああいった大きな問題にはならなかったでしょう。

これはWELQだけの問題ではなくデジタル世界の「負」であり、集客ドリブン(集客優先主義)を前提にメディアビジネスが発展してきたことで、「何を伝えるのか」ということが軽視されてきたのは事実として認めざるを得ない。

なので、あらためて僕らはコンテンツを信じるし、コンテンツの人々に与える影響も信じるし、コンテンツは人々を豊かにするもの、と再定義しています。

そこには、自戒の念も込めています。業界に対しても、僕らに対しても。

──「メディアを進める。」というのは、広告とメディア双方を進めるということですか?

そうです。これらは一心同体。コンテンツの力を信じることで、メディアのあり方を進歩させていきたいです。

──「進める」の説明で、最後に「朝日新聞を進める」ってありますよね。グループ全体にも影響を与えるということですか?

旧来型のマスメディアが、スタートアップ企業を買収した例って、(国内では)朝日新聞がファーストケースなんですよ。たぶん。

サムライトは、朝日新聞グループとしての顔を持っているので、朝日新聞を変える、前に進めるというのは、サムライトのグループにおける役割じゃないかなと。なかなか目には見えないけど、なにかしら朝日新聞を進められたらすごくいいなって思いますね。

この統合、グループ化の成功は、今後の大企業とスタートアップ企業のシナジーに確実に影響してくる。スタートアップ企業のエコシステムを作る上で、元気にする上で、この成功はとても重要だと考えています。

それに、サムライトだけで作れるもの、できるものって限界があると思うので、グループの経営資源とか、社会への影響度を考えたら、朝日新聞を変えていく方が、時にビジョンの到達に早いし、社会へのインパクトも価値提供も大きくなる。

朝日新聞を進めることは、僕らのミッション・ビジョン実現に必要な要素でもあるわけです。

お互いにとって「成功したよね」「シナジーあったよね」って世の中に発信していくことで、次の朝日新聞の動きができてくる。そういう意味でも、朝日新聞を進めるというのは必須かなと僕はとらえています。

報酬だけの会社は駆逐される。だからこそ「理念」による強烈なつながりが必要。

──「人を彩る。」というのはどういうことですか?

「自分たちの仕事は何のためにやっているのか」という議論が、たまに社内から出てきます。「『広告を情報に変えた世界』って、何ですか」「広告を情報に変えてどうするんですか」って、究極の質問なんですが…。

発信側、受け手側双方に有益な情報を発信すれば、みんながハッピーになる。そのことをミッション・ビジョンの中で「人を彩る。」と表現することにしました。

──クリエイター志向の高い社員もいますが、やる気を高めるにはどうしますか?

従業員が組織に惹かれる理由は「フィロソフィー(Philosophy=理念)」「プロフェッション(Profession=仕事内容)」「ピープル(People=人)」「プリビレッジ(Privilege=待遇)」の「4P」で整理することが多いようです。

お金以外を従業員に提供できない会社は、確実に駆逐されていく。今は経済的な報酬だけで人がとどまる時代ではない。他の項目で、どうやって従業員を魅了するのか、常々考えています。

だからこそ「理念」は強烈なつながりとして持っておくことが必要。そのうえで組織運営において、従業員のやりたい仕事、獲得したいスキル・経験が得られるサイクルを提供することも求められると思っています。

──「MEDIA MARKETING COMPANY」(メディアマーケティングカンパニー)というポジションも、同時に発表されています。

2つの切り方、解釈があって…。

「メディアを活用する『マーケティングカンパニー』」というのが1つ目の意味。

もう1つは「マーケティングをコアスキルにする『メディアカンパニー』」という意味。

この両方が混じり合っている。単に「メディアカンパニー」だと超普通だし、「マーケティングカンパニー」も腐るほどある。

「僕ららしさ」をより的確に表現したくて、「メディアマーケティングカンパニー」と命名しました。

──メディア活用とマーケティングを両方しっかりやりますよ、という意味ですよね。私は「メディアマーケティング」のカンパニー、で切って考えていました。

これまでは「コンテンツエージェンシー」といっていたのですが、「エージェンシー」というと代理店というか販売業と思われる。これからサムライトとして自社メディアも含めて事業を大きく育てていこうというときに、適切ではないと考えました。

マーケティングというコアなスキル設定、組織のDNAを入れようと考えて作ったのが、「メディアマーケティングカンパニー」なんです。

社名だって変わっていっていい。最終的にそれを正解にするのは自分だから。

──リビジョンに合わせて、ロゴも変わりました。

サムライのアイコンがスリムになり、「somewrite」と小文字だったのが大文字「SOMEWRITE」になりました。実は、全社員の投票をとったところ、紙飛行機をモチーフにした別のアイディアと同票でした。

最後は直感で、僕がこのロゴを選んだんです。

ビジョンが大きく変わるので、あえてロゴには元のイメージを残しました。変わって欲しくないという訳じゃなくて、あえて変わる余地を残したんです。

ここでがらっと変えちゃうと、次の段階で変えづらいのかな、と。

──決めたのは、直感…ですか?

意志決定のタイミングで、わからないことっていっぱいあるので、「最終的にそれを正解にするのは自分だ」と思って直感的に決めちゃう。

最後は勢いです。

──次の段階で、というのは?

実は、ビジョンもロゴも、社名ですら変わっていっていいと思っています。

変われる余地を残したというところで…もしかしたらサムライトという会社名がじゃまになるシーンもあるかもしれないじゃないですか。

──何があるか分からない。

そういうことです。まあ、サムライトという会社名じゃなくなれば、ロゴはさすがに大きく変えるんじゃないかな(笑)。

re:VISIONに表れた、創業6年目の新たな決意。そして、その先へ。

「ベンチャー企業で働きたい!」
そう思ったとき、まず、その会社の何を見ますか?自由で楽しそうな雰囲気?おしゃれなオフィス?「経営者の人柄にひかれた」という人もいるかもしれません。
でも、サムライト的には

「一番最初に、ミッション・ビジョンを見て欲しい」と思っています!

サムライトは

「コンテンツを信じる。メディアを進める。人を彩る。」

をミッション・ビジョンに掲げています。

コンテンツを信じ、メディアを進め、邪魔になる広告を排除し、インターネット環境を快適にして、送り手にも受け手にも有益な情報を提供することによって、人を彩っていく。

そんなサムライトが気になった方!

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